• 人生
  • 【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

  • 2023/03/31 0:00 公開  編集部
  •  第一三共ヘルスケア株式会社(本社:東京都中央区)は、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」という考え方が、人生100年時代の日本に重要なテーマになることを見据え、毎年、働く人を対象に「健康とセルフケアの実態調査」を行っています。セルフケアの実践率は前年より下がりましたが、本年5月には新型コロナ感染症が5類感染症へ変更されることなどもあり、8割近くが「今後セルフケアの重要性が増す」と回答。また、物価上昇を実感する中で、セルフケアは現状を維持したい支出第1位でした。

    1.働く人の健康とセルフケアの実態

    ●セルフケアの認知率は約8割に上るが、「からだとこころ」両方を対象と捉えている人は約6割にとどまる。
    ●セルフケア実践率は年々低下し、46.9%に。実践できていない最も多い理由は「仕事が忙しい」から。
    ●セルフケア費用は1カ月当たり5,096円。年々高まる。

    2.withコロナ生活でのセルフケア

    ●日常生活はwithコロナへシフト。
    ●「今後、日本ではセルフケアの重要性が増すと思う」人は約8割にも。

    3.人生100年時代の働き方とセルフケア

    ●人生100年時代、全体の6割以上が「健康が続く限り、年齢に関係なく働きたい」。
    ●働きたい年齢を平均で見ると、全体では平均63.0歳まで、60代では平均69.4歳まで。
    ●人生100年時代の働き方、「健康」と「セルフケア」の重要度が高まる。
    ●健康でいられると思う予想健康寿命は全体平均で67.7歳。
    コラム:~4月からの新年度、仕事よりも「セルフケア」~

    4.物価上昇とセルフケア

    ●老若男女、誰もが物価の上昇を痛感。「食料品」「光熱費」が物価上昇を感じる2トップ。
    ●物価上昇が続く中、「セルフケア」「医療費」など、健康には変わらずお金をかけていく。

     

    「健康とセルフケアの実態調査2023」調査概要

    ■実施時期:2023年2月3日(金)~6日(月)
    ■調査手法:インターネット調査
    ■調査対象:全国の20〜60代の働く男女1,000人
    ※グラフの構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため100%にならない場合があり、表記した数字の合算した値と異なる場合があります。

     

    1. 働く人の健康とセルフケアの実態

    ■セルフケアの認知率は約8割に上るが、「からだとこころ」両方を対象と捉えている人は約6割にとどまる。

     20〜60代の働く男女を対象にセルフケア(自分自身で健康を守り対処すること)に関する調査を行いました。まず、セルフケアの認知について聞くと、27.2%が「意味、内容まで知っている」、51.3%が「言葉だけは知っている、聞いたことがある」と回答し、全体の約8割(78.5%)がセルフケアという言葉を知っていることが分かりました[図1]。

     次に、セルフケアの対象範囲を聞くと、「からだ」が74.6%であるのに対し、「こころ」が88.1%と多くなっています。一方、「からだ」と「こころ」の両方を選択した人を集計すると、全体の約6割(63.6%)にとどまりました[図2]。

    [図1]セルフケア認知率

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

    [図2]セルフケアの範囲(複数回答)

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査


    ■セルフケア実践率は年々低下し、46.9%に。実践できていない最も多い理由は「仕事が忙しい」から。

     次に、「セルフケアとは自分自身で健康を守り対処すること」と提示した上で、セルフケアができているか否かを聞きました。その結果、「セルフケアができている」実践率は年々低下し、今回は46.9%となり、最も低い40代では38.8%でした[図3-1]。セルフケアができていない理由としては「仕事が忙しい」(46.0%)が最も多く、セルフケア実践率の最も低い40代では52.6%に上ります[図3-2]。

    [図3-1]セルフケア実践率
    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

    [図3-2]セルフケアができていない理由(複数回答)

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査


    ■セルフケア費用は1カ月当たり5,096円。年々高まる。

     一方、セルフケアにかける金額は、1カ月当たり平均で5,096円となり、昨年の4,488円より608円も高く(前年比114%)、全年代で上昇しています。特に60代は7,399円に上り、最も高い結果となりました[図4]。


    [図4]セルフケア費用(1カ月当たり)

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

    ※図3-1、図4の年代別回答者数
     2021年 20代:n=200、30代:n=203、40代:n=220、50代:n=243、60代:n=134
     2022年 20代:n=200、30代:n=203、40代:n=221、50代:n=233、60代:n=143
     2023年 20代:n=200、30代:n=202、40代:n=224、50代:n=236、60代:n=138


    2. withコロナ生活でのセルフケア

    ■日常生活はwithコロナへシフト。

     2020年から続いたコロナ禍、日常生活において緩和に向けた変化が進み、withコロナへのシフトが進んでいます。現在の生活に関して聞くと、約4割が「コロナ禍以前に比べ、自分の体調変化に敏感になった」(38.8%)と回答し、3割以上が「旅行や外出などを再開している」(34.1%)、「外食にでかけるようになった」(31.3%)と回答しています[図5]。対面での交流が徐々に回復していることがうかがえます。

    [図5]現在の日常生活(複数回答)

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査


    ■「今後、日本ではセルフケアの重要性が増すと思う」人は約8割にも。

     セルフケアに対する考え方を聞くと、「セルフケアは共感できる考え方だ」と8割以上(83.2%)が賛同し、78.9%が「セルフケアは自分のためだけではなく、周囲や社会に良い影響を及ぼす」と回答しています。また、77.3%が「今後、日本ではセルフケアの重要性が増すと思う」と回答しており、さらなるセルフケアの広がりが予想されます[図6]。


    [図6]セルフケアに対する考え方

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

    セルフケアと市販薬の関係を見ると、76.6%が「セルフケアのために市販薬は役立つと思う」、60.4%が「セルフケアのために市販薬についてもっと知識を増やしていきたい」と回答しており、どちらも前年からスコアを伸ばしています[図7]。

    [図7]セルフケアと市販薬の関係に対する考え方

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

    3.人生100年時代の働き方とセルフケア

    ■人生100年時代、全体の6割以上が「健康が続く限り、年齢に関係なく働きたい」。

     人生100年時代を迎える中、望ましい働き方について聞きました。その結果、全体の24.8%が「年齢に関係なく健康が続く限りフルタイムで働きたい」、39.8%が「年齢に関係なく健康が続く限り働きたいが、フルタイムではなく日数や時間を限定して働きたい」と回答し、全体の64.6%が「健康であれば年齢に関係なく働きたい」と回答しています。

     この結果を、図3の「セルフケアができている/できていない」に基づき分けて比較すると、「セルフケアができている」人では「健康であれば年齢に関係なく働きたい」と回答した割合が69.7%となり、一層高いことが分かりました[図8]。

    [図8]望ましい働き方

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査


    ■働きたい年齢を平均で見ると、全体では平均63.0歳まで、60代では平均69.4歳まで。

     次に、何歳まで働きたいか聞いたところ、全体では平均63.0歳までとなりました。年代別で見ると、年代が上がるほど働きたい年齢も上がっています。20代・30代は60歳を前にリタイアしたいと考えるのに対し、定年に直面する60代はさらに長く働きたいと考えている傾向がみられます。国の取り組みとして70歳までの就業機会確保が進められていますが、当事者世代の望む声とほぼ同様になっています。なお、セルフケアができている人は平均63.9歳まで働きたいと考え、セルフケアができていない人の平均62.2歳に比べ、高い結果となりました[図9]。

    [図9]働きたい年齢(勤労希望年齢)

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

    ■人生100年時代の働き方、「健康」と「セルフケア」の重要度が高まる

     働くことと健康やセルフケアに関する意識について聞きました。その結果、90.6%が「就労において健康がますます重要になると思う」、86.4%が「高齢でも元気に働けるようセルフケアがますます重要になると思う」と回答しています[図10]。

    [図10]働くことと健康やセルフケアに関する意識
    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査


    ■健康でいられると思う予想健康寿命は全体平均で67.7歳。

     厚生労働省の調査*1によると、2019(令和元)年の日本人の平均寿命は、男性が81.41歳、女性が87.45歳です。一方、健康寿命*2は男性が72.68歳、女性が75.38歳となっています。

    *1 出典:厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」(2021年12月)(リンク
    *2 健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指します

     そこで、健康でいられると思う年齢(予想健康寿命)を聞いたところ、実際の上記健康年齢に比べ、男性は約4.1歳短い68.6歳、女性は約8.9歳短い66.5歳となりました[図11]。年代別で見ると50代、60代の予想健康寿命は70歳を超えていますが、若い年代ほど短く見積もっている傾向がみられます。また、セルフケア実践の有無で予想健康寿命を見ると、セルフケアができている人では69.7歳と、セルフケアができていない人の66.0歳より、3.7歳長いことが分かりました。

     

    [図11]健康でいられると思う年齢(予想健康寿命)

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

     

    4.物価上昇とセルフケア

    ■老若男女、誰もが物価の上昇を痛感。「食料品」「光熱費」が物価上昇を感じる2トップ。

     天候不良や国際紛争などの要因から、さまざまな商品やサービスにおいて値上げが続いています。そこで、1年前と比べた物価の上昇について聞くと、全体の約9割(94.6%)が「感じる」(感じる+やや感じる)と回答し、性・年代別でも大きな差はありません[図12]。物価の上昇を感じるものは、「食料品」(94.2%)が最も高く、次いで「光熱費」(83.5%)、「日用品」(59.7%)、「外食費」(54.0%)が上位にあがりました[図13]。

    [図12]物価の上昇を感じる

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査
    [図13]物価の上昇を感じるもの(複数回答)

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

    ■物価上昇が続く中、「セルフケア」「医療費」など、健康には変わらずお金をかけていく。

     食費や教育費など10のジャンルに対し、「支出を抑えたい」「現状維持」「支出を増やしたい」の3択で回答してもらいました。その結果、「支出を抑えたい」を選択した割合は、住宅費、光熱費、水道代、日用品などの「住まい・公共料金」(61.6%)が最も多く、次いで「外食費」(52.2%)、「衣類」(50.5%)、「通信費」(50.4%)があがりました。一方、現状維持の回答は、健康維持・増進のための「セルフケア」(63.3%)が最も多く、次いで「理・美容」(59.1%)、「教育・学習」(57.4%)、「医療費」(55.0%)があがりました[図14]。

     誰もが痛感する物価上昇ですが、セルフケアや医療費など、健康にかける支出については維持する様子が見て取れます。

    [図14]ジャンル別の支出増減予定

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

    産業医・鄭理香先生に聞く、「働く人のセルフケアのススメ」

    ■コロナ禍3年を経てセルフケア意識や行動が定着。

     調査結果を見ると、セルフケアの実践率は少しずつ低下しています。新型コロナ感染拡大が始まった頃は、感染対策や健康に対する自己管理が強く叫ばれ、セルフケア意識も実践もいや応なく高まったわけですが、3年が経って意識して行っていたセルフケアが当たり前になり、定着したと考えられます。

    ■自分の健康管理市販薬をうまく使うことで日常生活がよりスムーズに。

     一方、コロナ禍以前と比べ自分の体調に敏感になった人もいます。コロナ禍で社会全体の健康について考えるようになり、そのためにも自分の健康管理を意識するようになり、結果、自分の体調変化にも気付きやすくなっているのだと思います。意識が高まることで、市販薬もうまく使えるようになると良いですね。例えば花粉症だと、処方薬と同等の薬効を持っていたり、複数の薬効が組み合わさったりと、近年、進化の著しい目薬やアレルギー薬は有効な選択肢になりえます。もちろん、今まで経験したことのない症状では医師の診療を受けることをお勧めしますが、そうではない場合、市販薬をうまく使って対処すると良いでしょう。

    ■セルフケアは自分のためだけではなく、みんなのためにも。社会全体の健康につながるセルフケア。

     私は産業医なので職域でセルフケア研修を行うとき、「上司がきちんとセルフケアできていないと部下に影響がありますよ」という話をよくします。分かりやすいところでは、上司がいつもイライラしていると部下もイライラして職場全体がピリピリしている、そんな経験、皆さんもあるのではないでしょうか。これは良いことでも同じで、例えば、上司が健康意識が高いと部署全体で健康イベントへの参加率が高い、ということがよくあります。

     良くも悪くも、自分だけではなく全体に影響することを理解していただきたいですね。誰かが体調を崩したとき、職場の皆さんで協力的にサポートできる環境をつくることが重要ですが、そのためにも一人ひとりが「こころもからだも」調子を整えていくことが大切です。今回の調査でも、セルフケアができている人は健康でいられると思う年齢が高くなっていましたが、セルフケアができている人は、うまくバランスを整えながら働いている方が多いと感じます。自分自身を整えることが、職場や家族といった周りを整え、ひいては社会全体の健康につながる、そういった意識を持つことが大事です。

    ■主体的な健康管理が求められる新年度、「こころとからだ」のセルフケア習慣を始めましょう。

     ここ10年、厚労省がメンタルケアを強化し、企業でもメンタルケア研修が増えていることから、今回の調査でもセルフケアの対象は「こころ」と答えた人が多くなっていますが、「こころ」だけではなく「こころもからだも」セルフケアが大切です。「からだ」が不調だと「こころ」も不調になります。両方そろうことが健康なので、セルフケアはどちらも大切です。

     物価上昇が続いている中で、健康維持・増進のためのセルフケア、理美容、教育・学習、医療費は現状維持という結果が出ていましたが、これらは自分への投資であり、「体が資本」という意識の表れだと考えられます。ここでの「体」は「こころとからだ」の両方が含まれますが、元気でないと何もできないということを、コロナ禍を経て誰もが再認識しているのだと思います。「健康づくりには惜しみなく」という気持ちが感じられ、とても良い傾向だと思いました。

     5月には新型コロナの感染症法上の位置づけが5類に移行することから、健康管理に対する主体性がますます求められるようになります。4月からの新年度・新生活は何かを始める良い機会です。5月以降を見据え、また、コロナ禍での経験を生かすためにも、「こころとからだ」両方のセルフケアを意識し、習慣化するきっかけとしてみてはいかがでしょうか。

     

    【第一三共ヘルスケア】「健康であれば年齢に関係なく働きたい」64.6% 健康とセルフケアの実態調査

    第一三共ヘルスケア産業医  鄭 理香(チョン・リヒャン)先生
    産業医 精神保健指定医 日本精神神経学会専門医 日本児童青年精神医学会認定医
    株式会社Ds’sメンタルヘルス・ラボ 代表取締役社長
    東京女子医科大学病院、都立梅ヶ丘病院、都立松沢病院などを経て、東京大学職場のメンタルヘルス専門コースTOMHを修了し、現職。臨床診療を行うとともに、産業医・顧問医・研修講師として、さまざまな職場(企業や教育機関)のメンタルヘルス対策に従事。

新着